新型コロナにより、ビジネスにおける『オンライン会議』は常識になっていますが、ビジネスで求められるのは映像や音声を明確・明瞭に伝える事であり、必要となる高性能なカメラ・マイクなどの製品が求められています。
そのようなニーズに対し、高機能なスピーカーフォン、ウェブカメラなどをラインナップしている『eMeet社』が、AIオートフォーカス機能を備えたハイエンドウェブカメラ『AI Webcam Jupiter』をリリースしました。
NitroBlogでは、このウェブカメラについて、先月リリース情報を記事にさせていただきましたが、早速サンプル機をご提供いただきましたのでレビューさせていただきます。
eMeet社について
eMeet社は中国深センの企業、スマホメーカーのHUAWEI、スピーカーのHarman、中国電気機器メーカーのTCL、中国音楽関連企業のKugou等のIT業界出身の人たちによって組織された企業です。
人工知能技術を音声業界で活用するために、今までの概念を覆し、更に高品質な音で自由にコミュニケーション出来る様になることを目指しています。
『AI Webcam Jupiter』について
『AI Webcam Jupiter』は、今月(2021年2月)にリリースされたばかりの、AIオートフォーカス機能を備えた最新のウェブカメラです。ビジネスユースをターゲットにしており、利用を想定するシーンは多人数が参加するWEB会議となっています。
スペック
基本スペックは、『1920×1080・30fps』フルHD解像度に対応したカメラに加え、4基のマイク、さらにスピーカーを搭載しており、ウェブ会議をおこなうための全ての機能を搭載しています。
販売価格 | 229 USD |
映像解像度 | 16 : 9, 1080p(フルHD), 30fps |
視野角 | 96度 |
フォーカスタイプ | AI Focus |
搭載マイク数 | 4基 |
搭載スピーカー数 | 1基 |
付属品 | ・本体 ・画面保護カバー ・USB Type-Cケーブル ・取り扱い説明書&安全証&保証カード |
対応OS | Windows10,MacOS 他 |
互換性ソフト(一例) | Facetime, Zoom, Skype, Skype for business, Microsoft Lync, Google Hangout, Goto meeting, Bluejeans, webex, braodsoft, lifesize, Line,Slack |
特長
本製品最大の特徴は、AIによる自動認識機能(オートフォーカス)、カメラに搭載されたAIが会議参加者の動き(ジェスチャー)を認識して、話者全員がカメラに映るように、自動でフォーカス&ズームインアウトを行うようになっています。
さらに、光量の自動調節など細かな設定はしなくても、AIが自動で適切な画質に切り替えをおこなうので、快適なWEB会議が可能になっています。
▼話者がカメラ全体に映るよう、自動的にズームイン・アウトが行われる。
また、eMeet製品向けの専用ソフトウェア『eMeetLink』に対応し各種パラメータ調節も可能となっています。こちらのソフトウェアは、WindowsはもちろんMacOSにも対応しています。
なにより、ハイエンドウェブカメラとしては、他社同等機能製品に比べリーズナブルな価格であるのも特徴と言えます。
パッケージ内容
外箱
eMeetのパッケージは青白で統一されていますが、JUPITERは白を貴重に青のワンポイントデザインで清潔感があります。
添付品の内容
開梱するとまずケーブルや取扱説明書のボックスが出てきます、このボックスを取り出すと本体が収納されています。
取扱説明書
取扱説明書は多言語版で日本語の表記もあるが、イラストによる説明が中心で見るだけで理解ができるようになっている。
本体の確認
デザインと質感
本体サイズと重量は、実測値で幅55mm 奥行き90mm 高さ65mm、重量215gだった。
手に持ってみると意外とズッシリと重量を感じ、一般的なウェブメラと比べると奥行きが長く大振りな筐体、ケースの材質はプラスティック製で、デザインが四角くシンプルだが質感は高級感があるとは思わないが一定の品質を感じられる。
本体上面にはスピーカーと、おそらくマイクも設置されている? 背面には三脚穴、レンズに取り付けるプライバシーシャッターは本体から紐で固定されているが、取り外し出来ないのは少し問題に感じる。
左右のデザインはまったく同じで端子などなくツルッとしている、背面にはUSB-Cポートがある。ケーブルが取り外せるのは良い点、設置環境によってケーブル長を変えられるし、設置性も良い。
各部の機能詳細
【本体正面】
【本体背面】
この項目(リリース前の資料のため)に記載していないが、非使用時に装着することで汚れや傷の付着を防ぐことができるプライバシーカバーが本体にワイヤーで取り付けてある。
スタンド
本体下部のスタンドはクリップとしてモニター上部設置が可能、ノートPCや小型のモニターに設置できるが、本体サイズが大きいのでかなり不格好になる。またクリップがスクリーンに干渉するのであまり実用的とは言えない。
スタンドの可動域は左右に約90°の首振り、約45°水平から下方向に稼働、クリップ部は180°開く事ができる構造だが、お世辞にも可動域が広いとは言えない、デスク上でスタンド調整すると本体の重量があるので不安定になる場合もある。
三脚を利用して角度調整する方が圧倒的に使い勝手が良いので、スタンドはおまけ程度に考えておいた方が良さそうだ。
設置と専用ソフトウェア
PCとの接続
eMeet JUPITERは、Windows、Mac OSなど、主要なOSに対応しており、USBで接続するだけですぐに利用開始可能なプラグアンドプレイ。後述する専用ソフトをインストールしなくても使用できます。
主要なビデオアプリケーションに対応しているので、色合いや露出など、各アプリケーション側で設定する事が可能なのでシンプルに利用したいならPCにUSBでつなぐだけでOKだ。
専用ソフト(eMeetLink)
『AI Webcam Jupiter』に合わせてリリースされた画像・映像の詳細設定が可能な専用ソフトを利用する事で、細かい調整が可能になった。
- eMeetLink | Win・Mac対応 ダウンロード
設定項目は、カメラ・動画共通のズーム機能、カメラ機能には解像度・反転機能・露出設定、動画機能には輝度・コントラスト・シャープネス・彩度・ホワイトバランスなど・・・ 自分好みの映像に微調整をおこなうには最低限の設定項目がある。
とはいえ、まだ完成度が低い印象で、録画や撮影機能などはない、特に良くないと思ったのはインストール時にセキュリティーやドライバーの発行元に関する警告が出る事、詳しくない人はインストール自体を躊躇する仕様だろう。
eMeetには今後の機能向上や、セキュリティー関連の警告が出ないよう対応をお願いしたい。
映像・集音性能・スピーカーについて
僕のメインPCに『AI Webcam Jupiter』を接続してLINEによる通話テストをおこなった。
映像品質
正確なスペックは不明だが、おそらく画素数は200万画素、解像度は1920p×1080p、視野角は96度もある広角レンズとなっている。映像の色味や広角による広くダイナミックに映る映像は素晴らしく、遅延も少ないし、広角レンズで発生する4辺の歪みもほとんどない。
被写体により微調整がおこなわれているのか、露出や色合いが撮影中に変化しているのも確認ができたが、AIフォーカス機能が少し分かりづらい、人を認識してフォーカスを合わせる事を重視しているのだろうか? レンズに物を近づけても、フォーカスが動かないので評価し辛いのが正直な感想。
AIフォーカス機能は多人数が参加する会議などでテストしないと正確な評価はできないようだ・・・ とは言え、綺麗で広く映り、色合いも良いので映像自体は良質であると結論を出しておきたい。
マイク性能
マイクが4基蔵されているとの事で、正確なスペックは不明だが、エコー&ノイズキャンセルリング、360°集音などの機能は当然あると想定できる。
LINEを使った通話テストでは、音声の集音能力が高く、相手にクリアーな音声が伝わっているようで、スムーズな会話ができた。わざとキーボードを押してみて雑音を出してみたが、一定のノイズ軽減効果は確認ができた。
スピーカー音質
『AI Webcam Jupiter』には本体の上部にスピーカーを搭載している、スピーカーを搭載するウェブカメラは比較的珍しい。モノラルスピーカーで、音声再生に重きをおいている。
本体サイズの割には大きな音で再生が可能、低域は圧倒的に弱いが、オンラインの通話であれば問題はない。会議開催時のスピーカー選択肢の一つにできる点で良い機能と言える。
専用スピーカーがあるなら専用品を使う方が良いし、しょぼいノートPCの内蔵スピーカーを使って、キンキンした音を聞くよりは『AI Webcam Jupiter』の内蔵スピーカーの方が良いだろう、
総評とまとめ
AI Webcam Jupiter
『AI Webcam Jupiter』を使用してみて、率直に良い点と悪い点を以下に記載してみた。
割と辛口なレビューだが、僕がテストしたのはあくまでも自宅なので、実際に多人数によるウェブ会議をおこなった場合の通話品質、AIフォーカスの評価が正確にできていない。
ビジネスユースであれば、映像は綺麗だし、集音能力も高いので不満はそれほど出ないだろう、スピーカーはイザという時に役立つし、設置性も会議室内であればデスク上や三脚を利用する場合が多いと想定できる。
専用ソフトは今後のバーションアップが行われれば、製品自体の付加価値は向上するので今後の対応に期待したい。
2021年2月19日現在 日本国内の大手ネットショップではまだ取り扱いを開始していないようです。
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