ANBERNIC 初の Windows を搭載した UMPC ハンドヘルド『WIN600』が発売されました。
公式サイトの割引価格で入手が可能なプレセールは、在庫が少なかったためかモデルによっては売り切れている状態だったようですね。
WIN600 に関してすでに軽めのレビューを投稿しておりますが、この記事を本レビューとします。
WIN600 入手先はこちら
記事執筆時点で Amazon の取り扱いはなさそうですが、いずれ販売開始されるのではないかと思われます。公式のECサイトは以下に記載しておきます。
ANBERNIC 公式販売サイト
AliExpress ANBERNIC official Store
販売価格
WIN600の通常価格は以下の通りですが、プレセール時に3,000円程度の割引きがありました、急いでないのであれば、夏のセール期間に同等価格で入手は可能になるのではないかと思います。
※ 為替レートによって上下しそうです
WIN600の概要
ANBERNIC が初めて手掛けるUMPC
ANBERNIC が初めて手掛ける Windows を搭載した UMPC カテゴリーのハンドヘルドゲーム機です、中華ゲーム機メーカーとしてファンから支持を集める ANBERNIC が、どのような機種をリリースするのか?発売前から大きな注目を集めていました。
Windowsを搭載したハンドヘルドは、GPD・One-Netbook・AYANEO など、多くのメーカーと機種がリリースされている混戦市場となっており、価格は当然ですが、他機種との機能的な差別化も必須条件となっています。
2モデル2カラーから選択が可能
白と黒のカラーバリエーションと、搭載するCPU & ストレージが2種類から選べる構成で、4モデルが存在します。
SPECの青字は 3050e 搭載モデルを表記しています。
性能は控えめ、メモリ&ストレージ交換可能
前項のスペックの通り、搭載するプロセッサーはパワフルとは言えない、ゲーミングPCの性能を要求する、重たい3Dゲームを外に持ち出して遊びたいと考えているのであれば、苦しいデバイスになりそうである。
とはいえ、グラフィック設定を落とせばプレイ可能なタイトルも多く存在するし、エミュレータであれば PS2 や Wii なども遊べる・・・ 要するにライトユーザー向け、または UMPC 初心者向けデバイスって感じの位置づけ製品と言えるかもしれない。
同機の大きな特徴は、メモリとストレージの交換が可能となっている事、特にメモリは初期の8GBではパフォーマンスに影響するため、16GBの換装は必須の追加投資になりそうだ。
Windows 10 & SteamOS 対応
デフォルトで Windows 10 がプリインストール、また Steam OS もサポート、Steamのゲームライブラリであれば同OSから起動する事でパフォーマンスの向上が見込めます。
ファームウェアのデータと導入方法については、以下の公式サイトをご確認ください。
開封&付属品
黒パッケージ
外箱はいつもの ANBERNIC 白ワイヤーフレームイラストパッケージではなく、黒箱で蓋中央にANBERNICロゴという見た目の印象が大きく向上している。
付属品
箱内には、本体とアクセサリーを収納した小箱が収まっており、小箱を開けると、ACアダプターとUSB-Cケーブルがしっかりと梱包収納されている。本体下部にはガラスフィルムとユーザーズマニュアル。
付属のACアダプターは3W出力なので急速充電用ではない、USB-Cケーブルも映像出力には対応していないのが少し残念だ。
本体デザイン
ANBERNICらしいデザイン
従来の ANBERNIC 製品はスクエアなデザインが特徴、見た目は無骨な感じだけど、質感が良くて好感がもてるってイメージ。
WIN600 もフェース部を正面から見ると台形ではあるけど、概ね印象としてはANBERNIC製品って感じ。背面はグリップ部が盛り上がり、ホールド感を高める造形になっていて、ショルダーボタンは縦配列と、同社製品としては珍しいスタイル。
ただ、フェース&バックパネルがシンプル過ぎて、このサイズの筐体だとチープな印象を感じてしまう・・・ 3.5インチ筐体であれば塊感があって良いんだろうけど、大型製品の設計に、ANBERNICの経験値が足りてないのかな?って印象を感じた。
オーソドックスなボタンレイアウト
フェース部ボタンはゲームデバイスとしてはオーソドックスな配列、アナログスティックは左右ともに下部にある・・・ レトロコンソールエミュレータの場合は違和感はそれほど感じないが、多くのボタンを使用するPCゲーム(Fall Guysとか)で遊んでみたらレイアウトに少し違和感(後述)を感じた。
ショルダーボタンは縦配列だが、デジタル入力なので「オン・オフ」のみ、軸も本体中央側にあるので、個人的にあまり好きになれない、クリック感もフニャフニャしているのがイマイチな感じ。
フェース部に Windowsボタンとホームボタン、本体右側にマウス切り替えスイッチとバーチャルキーボードボタン、本体左側には音量ボタンと電源ボタンが配置される。
ビルドクオリティは・・
外装は金属ぽくも見えるが材質はプラスチック、RG503 を大きくしたような質感で、RG503 には背面の滑り止め加工がある分、手が込んでいるが。それよりも WIN600 は筐体が大きいため粗さが目立つ印象である。
手に持って、少し捻ると「ギシギシ」するし、ボタンのクリック感も何故かチープに感じてくる・・・ スッキリと余計な凹凸がないのは良いけど、それが故にチープ感が増しているのだ。
ちなみに、ギシギシが気になって背面のネジを増す締めしたらカチッとしました、あくまでもサンプル品なので、正規品との差異はあるかもしれませんね。
操作性
操作ボタンは柔らかめ
ABXYボタンはX-BOX配列、Windows機なのでこれは問題ないかな?
使用するパーツは従来製品と同じ部品を使用していると想定できるが、クリック感は幾分柔らかく感じる、これは内部の空間や材質の差異が原因ではないかと思われる。
ショルダーボタンはイマイチ
十字キー・アナログスティック・ABXYボタンは押し心地も反応も良好、ANBERNIC の製品らしい操作性で個人的には問題は感じないが・・・ ショルダーの4ボタンはイマイチで、クリック感がなくフニャフニャした押し心地で気持ち良さがないのです。
アナログスティックの位置に難あり
個別の操作スイッチ品質や入力感度に大きな問題はないが、十字キーとアナログスティックを駆使するゲームの場合は操作に影響が出る事に後から気が付きました。
問題は、十字キーとアナログスティックの距離が離れていることで、自然な親指の移動操作が困難であること、そしてアナログスティック操作時はショルダーボタンに指が届きづらく、これも操作がし辛い原因となっています。
フォールガイズで少し遊んだところ、視点変更がやりづらくてね・・・ ホーム・Windowsボタン側にアナログスティックが寄っていれば操作性は相当向上するんだろうなと・・・
あと、左のアナログスティックと十字キーは、上下入れ替えたほうが良かったかもね・・・ レトロゲームが前提であれば、現状の位置が理想ではあると思うけど。。。
スクリーン&音質
縦モニターの流用?画質は綺麗
WIN600 のスクリーンは IPS 5.94 inch 解像度は1280×720 だが、BIOS画面が縦表示だったり、まれに縦画面で起動するなど不思議な挙動が起きる・・・ おそらく 720×1280 タブレット用途の液晶を流用してるっぽい。
解像度はFHD以下の微妙なスペックだけど、非力な性能を考えればゲーム用途としては妥当な選択と思える、表示設定は最低限にせざる負えないわけだし・・・
液晶のドット抜けチェック、カラーバー表示などで確認した限り、僕の個体にはドット抜けは無かったし色合いも綺麗だ、四辺に発生するムラも確認できなかったので、表示はかなり美しいと思う。
輝度が少し弱いかなって気はするけど、直射日光下でもなければ問題はないだろう。あと、相変わらずスクリーン部の黒い縁部分が大きい(非表示エリアが大きい)、あまりエレガントではないですね。
内蔵スピーカーは普及点かな
WIN600 は本体下部の左右にスピーカーを搭載、当然ステレオであるが、相変わらず高音がキンキンしていて高音質とは言えないが、シェルが大きいのでエンクロージャーが効果的に効くのか、RG503 と同じように WIN600 も比較的音質が良く感じた。
音楽や映画視聴などのメディア用途には内蔵スピーカーは向かないが、ゲームの効果音やBGMであれば十分楽しめる音質ではないかと思う。
いろいろ検証中
あくまでも UMPC 初心者の意見ですが・・・
いじっていて感じる問題点
WIN600 はゲーム機である・・・ という前提で、
まず、僕が一番問題だと感じるのは、圧倒的にバッテリー持ちが悪いこと、検証でファイルのコピーや、設定などしているだけでもバッテリーはどんどん減っていく。ゲームであれば二時間が限度じゃないだろうか? ゲームは一日に二時間もやれば十分だと言う事であれば問題はないが。
そして、とんでもなく本体が熱を持ち、本体上部の排熱口から暖房ですか?ってぐらいの熱風が吹き出るのが地味に不快であるw
おそらく、これは WIN600 が悪い訳ではなく、他社も含めて UMPC 製品はこんなもんなんだろうと想定している。悪口ではなく『携帯ゲーム機』としては難があるなって個人的な感想である。
良いと思ったこと
初期のWindows設定が終了すれば、次回以降の起動が爆速である。僕のメインPCより圧倒的に早い・・ まぁ、使い続けると徐々に遅くなるのかもしれないが、ちょっと感動だ。
事実上のPCを持ち出せるってのも、個人的には気に入った点で、クラウドを使えばどこでも簡易な仕事やクリエイティブな作業ができるってのは使い方次第では有用なガジェットになりそう。キーボードやマウスが必要だけど、メガネ型のモニターがあれば最強アイテムになるなぁ・・ などと妄想してみた。
今後の検証など思案中・・・
メモリ増設はするつもり、SteamOS はレビュー検証するべきではあるが、実使用上は不要かなって気がしている。デュアル起動のシステム構築してパーティション切って使うのであれば、大容量のM.2が必要になっちゃうし・・・ まぁ、ゲームパフォーマンス向上の恩恵はありそうだけど。
もはや、ゲームよりもハードのパワーアップの方に想いがいってしまっているわけだが、ある意味、それが WIN600 の魅力かもしれない。
どんな用途・人に向いているの?
3Dを駆使したPCゲームを外に持ち出したいというゲーマーには、パフォーマンスに大きな不満を感じるし、レトロゲームをエミュレータで遊びたいというレトロゲーマーには性能に不満は感じないだろうが、それなら RG353P で良くないか? 半額で買えるしねぇ・・・
普段遊んでいるPCゲームを外に持ち出して遊びたいというニーズを前提に、僕であれば、最近まったくやらなくなったけど DQ10 なら、WIN600でも十分に外出先で遊べそう・・・ そんな持ち出しプレイを前提にして、ゲームタイトルが要求するハードスペックをしっかり確認した上で WIN600 を購入するのであれば、良い選択にはなりそうである・・・ それでも、バッテリー持ちがネックになるかなぁ・・・
やっぱり、複数の機種の動作を検証したり、ベンチマーク測ったり、ハードの改造したりするのが大好きなマニア、ANBERNIC ハードの愛好者向けと考えたほうが良さそうかな?
総 評
WIN600 は、良くも悪くも ANBERNIC の主力商品となるエミュレータ機の最上位モデル、そして同社初の UMPC である。
価格が高くないか?という意見もあるが、クラウドファンディングの販売手法を用いて、半年後にユーザーに提供する他製品の価格と同列に比べるのは分が悪い・・・ どれだけの数量が売れるか不明な状態で、リスクを背負い部材調達をして生産しているのだから
とは言え、WIN600 ユーザー評価、そして今後のマーケティング手法については、ANBERNICとしても再検討が必要になったのかもしれない・・・ な~んちゃってwww
ANBERNIC 初の UMPC WIN600 ですが、一定のクオリティーでリリースした事、将来的なアップデートなども期待して・・・
星3評価とします。 今後の UMPC 機種ベンチマークです。
ユーザー投稿
細かいレビューありがとうございます
色々な人のレビュー動画見ていても視点が違っていたりもしますので
色んな意味で今後の参考になりましたw
なんか別の取引業者の話を聞く感じですと、どうも今回販売したものは
小ロットのテストプロダクションで製造した分の先行販売って事みたいです
その業者が言うには問題が無ければフルプロダクションに入ると言ってました。
その業者に入荷するのもそちらの方で予定は今月と言ってました
ただ最低注文数が300台からなので取り敢えず静観です。
うち用に数量減らしてくれたとしても30台は買ってくれと
言われそうなので正直キツイですw
まずはRG353P売ってしまわないと(笑)
>おそらく 720×1280 タブレット用途の液晶を流用してるっぽい。
ですね、汎用のパネルを使った方がコスト面で下げられるからですかね
GPD社のUMPCを仕事用やゲーミング用含めて持っていますが
液晶パネルに関しては同様でスマフォやタブレット用のパネルですね
ハイエンドのGPD WIN3もパフォーマンス重視で720pのディスプレイです
ラズパイを使った携帯ゲーム機なんかも同じで
起動時のパラメータに画面のローテーションが要ります
AMD 3050eはTDPも低いのでそこまで熱くないかなと思っていましたが
かなり熱いんですね、私のGPD WIN3も本体はそこまで熱いと言う感じは無いんですが
ゲームとかで負荷を掛けると排気口からの温風ヤバいです
冬場は猫が群がるレベルです
バッテリーの持ちはWIN3も悪いですね~、ゲームやっているとすぐバッテリー
無くなります、この辺はサイズや重量とかとのバランスなんでしょうけど
中々難しい所ですかね
プレリリースで販売した製品で大きな問題が起きないか確認してから本生産って感じですね。
発熱は他機種と比較ができないので正確には分からないんですが、小型ファンヒーターかよってぐらい排熱しますねw
>プレリリースで販売した製品で大きな問題が起きないか確認してから本生産って感じですね。
ですね、でもそれを売っちゃう辺りがある意味ANBERNICらしいかも
確かにテストランのコスト、バカにならないですからね
でも本来はそれ込みでの製造コストなんですけど
そこは出来る限り回収しようと言う感じなんですかね
ANBERNICが自社設計したのかODMでどこかに委託したのか分かりませんが
自社設計だとすると私達が思っているより製造原価
意外と高いのかもしれませんね、卸値もあまり安くないですし
>小型ファンヒーターかよってぐらい排熱しますねw
ハハハ、じゃぁGPD WIN3と同等レベルかな
顔に向けるとドライヤーかよと思います
私はUMPCは数年前に購入したGPDwin2だけ持っているのですがWIN600と似たような性能なのかな?
と思ってますが、当初PS2や最新mameを携帯できる事に感動し 次にランチャーを組み込む事に熱中し
最終的にSteam専用機になりました、ゲーム用の小型携帯PCでもやはり何かしら設定してる時が一番
楽しかったりします、今後の豊富なラインナップに目移りしますね。
とか言いながら最近は中華機から一歩下がってコンソール機ばかりさわってます
この画面でWindowsは厳しい・・・ SteamOS 入れてみたんですけど、快適だなと思いました。
とは言え、やれる事が限定されるので、結局Windowsに戻しましたけどねw
結局、弄ってるのが一番楽しいは同意ですね。